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ワールドカップをともに戦う<3>

    そして後半6分、いきなりその時はやって来た。柳沢のパスを稲本がシュート。
    ゴーーーール!!
    競技場が大きな生き物のように吼えながら揺れていた。自分の声が聞こえないので、更に声を張り上げ絶叫。だれもがこの瞬間を待っていたのだ。興奮の最中、時を隔てずして携帯にメール着信。ん?
    “ゴーーール!!やったぁ。”
    テレビ観戦をしている筈の友人だった。競技場の者だけではない。日本中の誰もが歓喜し、同じ思いでひとつのものを見ている。じーんとその実感が伝わってくる。すぐにメールの返信をしたが、送信不能。あまりの異常な雰囲気に電話も非常事態だったかな。
    ついに試合終了を告げる笛。勝った!勝った!!勝った!!!
    こんなに幸せな気持ちが世の中にあったなんて。全員総立ち。万歳の嵐。周りの人と誰彼かまわず抱き合い、握手をしあう。選手がみなピッチを後にしても、観衆は立ち去りがたく、いつまでも万歳を続けて興奮の余韻を楽しんでいる。
    ぞろぞろと出口へ向かいながらも、あちこちで万歳が続く。太鼓を抱えたロシア人がお祝いのニッポンコール。それに応えて日本人のお返しのロシアコール。そして大きな拍手。感動という同じ思いが沸かせる友情のコールだった。
    試合に背中を向けて、非常事態に備えて応援席を見つめ続けた(どれだけ振り向きたかったことだろう)、ボランティアのみなさん、競技場の外で大声を張り上げて誘導してくれたボランティアのみなさん、丁寧な口調で手荷物検査にあたってくれたボランティアのみなさん、ありがとう。そんな方々一人一人と、握手をして、”イエ―イ!”なんて言いながら帰って行く。長い列はなかなか進まないが、今日だけは、それがむしろ嬉しい。

    毎日素晴らしい試合が続き、眠れない夜を幾度も過ごし、そしてついに、6月30日、ワールドカップ最後の試合、決勝戦の日を迎えた。私たちはニたび、横浜に戻って来た。
    今度は、なにせ山本耀司先生の代わり!に行くんだもの。服はもちろん岩田屋Zサイドで悩みに悩んで買った(因みに、買おうか買うまいか迷ったわけではないよ、何を買うかを迷ったんだよ)ヨウジヤマモトである。もうブルーを着る必然はない。ただおしゃれをして、ゲームを楽しみさえすればいいのだ。その勝敗に命を賭ける必要はない。このゆとりが、ヨウジヤマモトの服を(いやいや、それを着る自分だと思い切って言ってしまおう・・)惹きたてる?というもんだ。
    先生の服は、服自身のインパクトが強いのはもちろんだが、それがまさに着る人の個性を最大限に惹き出す。以前フイルムのCMで、美しい人はより美しく、そうでない人もそれなりに・・・なんてのがあったのを思い出しましたよ。山本先生のイメージの着こなしが出来ているだろうか、いやいや、自分なりの着こなしができたら、それこそが正解だ・・・ううむ、ファッションも奥が深い。

    さて今回は、新横浜の喧騒を避け、その先の小さな駅、小机よりアタックすることにした。こちらもやはり多くの人で賑わっていたが、新横浜よりぐっとフレンドリーな感じ。ブラジルとドイツの、国旗やユニフォームが飾ってある。何故かドイツと日本の国旗を配ってくれていた。さてはドイツ不利?

TEXT/椎名 まこ
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