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飛鳥仏とクスノキ<2>

   法隆寺の救世観音像(夢殿)、百済観音像(大宝蔵院)、中宮寺の弥勒菩薩半跏 (みろくぼさつはんか)像、法輪寺の虚空蔵(こくうぞう)菩薩立像などの仏像は、いずれもクスノキの一本造りであり、 クスノキの霊感溢れる神々しさと美しさを秘めた、柔らかなぬくもりのある作品として名高い。

~百済観音像~    
百済からの招来仏と思われてその名がつけられたが、用材がクスノキであったことから、 日本で作られたものと改められたが、由緒や作者は不詳。高さは2m、日本の仏像には珍しい八頭身のすらりとした姿を しており、表情は優美で慈悲深い。(水瓶と蓮華座だけはヒノキである)
(法隆寺・大宝蔵院)

~虚空蔵菩薩立像~    
左手に水瓶、右手は屈臂仰掌のお姿から、虚空蔵ではなく観音菩薩が正しいとされる。 体つきは平面的で簡素な肉づけ、法隆寺の百済観音像と似ているけれど、顔も脚も大きくずんぐりした印象。 中国の斉周様式の影響が考えられる。
(法輪寺)

~弥勒菩薩半跏像~   
 飛鳥時代の彫刻の最高傑作とも評され、そのお顔の優しさから、エジプトのスフィンクス、 レオナルド・ダ・ヴィンチ作モナリザとならび、『世界の三つの微笑像』とも呼ばれている。 (その微笑はアルカイックスマイル(古典的微笑)の典型といわれる)
(中宮寺)

~救世観音像~    
像高178.8cm、手には、全ての願いが叶うという宝珠を持つ。聖徳太子の等身大と伝えられ、 秘仏であったが、明治17年フェノロサにより開扉されたといわれている。
(法隆寺・夢殿)

~玉虫厨子~    
高さ2.3m、推古天皇の御物とされ、装飾の透かし金具の下に玉虫の羽が敷きつめられている。 (翅の数から4542匹の玉虫が使われているという)(主体はヒノキ、彫刻の部分はクスノキ)
(法隆寺・大宝蔵院)

TEXT/堀川 貴子
E-mail : nagi@nagi-web.com

<参考文献>
■日本の歴史がわかる!三笠書房
■木(白洲正子) 平凡社
■ノーザンライツ (新潮社)
■森の博物館 小学館
■日本人と木の文化(小原ニ郎の世界)
URL1/http://www.wood.co.jp/kohara/index.htm
URL2/http://www.horyuji.or.jp
URL3/http://www1.kcn.ne.jp/~horinji/