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ハウステンボスで夢をみる<2>

    “ウェルネスセンター”は、別荘風コテージ(フォレスト・ヴィラ)が林立するフォレストパークゾーンにあるプール・ジャグジー・サウナを併せ持つリラクゼーション施設である。癒しの旅にジャグジーは相応しい。まるで傷心の人のイメージで(今回の旅は、何故かイメージが先行している?)、プールへ。アールデコ調のその建物は、秋の陽光の暖かさだけを取り込んで、その光が水面をゆらゆらと照らしていた。
    きっちり準備体操をして、胸に静かに水をかけ、足からそーっと入る。(息子が正しいプールの入り方を教えてくれたから。)ずいぶんとスイミングスクールにも通ったのに、何にもならなかった輝かしい?挫折の歴史を思い返しながら、水と遊ぶ。傷心の人は、いつの間にか家人と、夕食を選ぶ権利をかけて、必死の?競争をしている。思いっきり10周も水の中を走ればもうくたくた。よれよれになった足でジャグジーに浸かれば、もうただの空腹の人になっている。

    身体をしっかり動かして気持ちよく疲れたところで、今日のお目当て、フォレストヴィラへ、チェックイン。湖の周りに立つ1戸建てのコテージは、街の賑やかさが嘘のように、静かで落ち着いた佇まいをしている。玄関を入ると、1階はリビングルーム、2階にベッドルームが2つ。広さ77㎡というゆったりとした造り。窓をあけると湖に突き出たバルコニー。白鳥が、水に映った紅葉の上を、ゆっくりと泳いでゆく。うーーん。これは良いね。サンサーンスの白鳥など口ずさみたくなる位の優雅な時間だ。

   夕暮れが迫る頃、街へ出る。あちこちの木々に飾り付けられたイルミネーションが灯りだす。辺りの景色が宵に包まれていくのに比例して、いよいよきらびやかさを増しながら。
    アレキサンダー広場では、クリスマスのページェントが始まっていた。純白の衣装をつけた雪の妖精たちが、クリスマスを祝って美しく舞い、澄み切った声で歌い上げられるクリスマスソングは、みんなの想いを一つに昇華させてゆくのだった。そして、自分の内にも、新しくパワーが生まれつつあることを感じていた。

TEXT/椎名 まこ
E-mail : nagi@nagi-web.com