

≫インタビュー(2)
九州大学[教授・核融合研究家]伊藤智之さん
太陽・・・それは私たちにとってすべての源。地球の誕生以来、その限りないエネルギーで、
地球を育み、豊かな自然と人類を創造した。その太陽を自分たちの手で作り出そうと研究している人たちがいる。
九州大学応用力学研究所、炉心理工学研究センターは、JR大野城駅からほど近く、春日公園
そばの閑静な緑の中にある。トライアムグループ、そう呼ばれる核融合研究開発の研究者たちは、ここで、夢のエネルギ
ーの実現に取り組む。
■核融合っていったい何ものでしょうか?
物質は、固体、液体、気体の状態に分けられますが、この気体をさらに超高温に熱すると、正
の電気を帯びた原子核と負の電気を帯びた電子がばらばらの状態になります。(これが、プラズマと呼ばれるものです。
)ここで、原子核同士を何らかの方法で衝突させると、別の原子核に生まれ変わりますが、その際に大きなエネルギーを
放出します。このエネルギーで液体リチウム等を加熱し、熱交換器で水蒸気を発生させ、
発電機を駆動して発電を行うの
が、核融合発電です。燃料となる水素の同位元素である重水素(D)や、三重水素(T)は、海中にほぼ無限に存在してい
ること、環境影響、安全性などの点においても優れた特性を有していることが、"夢のエネルギー"といわれる所以です。
■どうすれば核融合反応がおきるのでしょうか?
D−T反応の場合、密度1p3あたり1014個(100兆個)、温度1億度のプラズマを1秒
間閉じ込めることが必要とされます(ローソン条件といいます)。
■プラズマの閉じ込めの方法には、どのようなものがあるのでしょうか?
大別すると、プラズマを磁力線の壁で閉じ込める磁場閉じ込め方式と、プラズマ自身の膨張に
よる反作用で圧縮する慣性閉じ込め方式の2つがあります。磁場閉じ込め方式は、トカマク型、ステラレータ型、ミラー
型などいくつかのタイプに分類できますが、ローソン条件にもっとも近く、核融合炉として期待されているのが、トカマ
ク型です。
トカマク路線は、大型トカマク路線(装置を大型化してエネルギー閉じ込め時間を長くしよう
とするやり方)と、強磁場トカマク路線(トロイダル磁場を強くし、プラズマの密度を大きくしてローソン条件達成を目
指すやり方)に大別されます。
大型トカマク路線として、JT-60(日本原子力研究所)、JET(ヨーロッパ連合)、TFTR(米
国)、強磁場トカマク路線として、ALCATOR(米国)などが、あります。九州大学のTRIAM−1Mは、この強磁場トカマク
型になります。
つづく →

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