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永岡龍市先生のエッセイ集

≫恥らう愛と経済システム

    時々行ってみたくなる田舎の現風景を持っていますか。
    田舎の親戚のうちに行くと、帰りに干した芋や硬くなった餅を土産に持たせてくれます。子どもだった私に、割烹着のポケットから使い込まれたがま口を取りだして500円札を手に握らせてくれた思い出があります。
    折角来てくれたのに、充分なことをしてやれなかったという思いが込められていました。それが誰であったかは残念ながら思い出せませんが、昔そういう大人の恥じらいに何度かあった事があります。
    この体験から立派な水引きの着いた祝儀袋を手渡すことに、やましさを感じてしまいます。
    最近起きている疚しい事件を思い出してみましょう。
    1、鈴木宗男、加藤鉱一、辻元清美
    2、牛肉、豚肉、鶏肉 
    3、厚生労働省、HIV、ヤコブ病、C型肝炎
    4、文部科学省、時代遅れ、教育改悪
    5、財務省国税局長、斡旋、脱税
    全部、自らの生き方に誇りと恥じらいのない人達の事件です。
    これらの事例は、いずれも組織というシステムの硬直化や経済モデルの崩壊を原因としています。
    有史以来、いくつかの経済モデルが試されてきました。政治も社会のシステムもこれに合せて変化しました。しかし、いずれも時間の経過と共に色あせ崩壊してきました。原因は、色々なシステムがそこに住む人々を幸福にするという究極の目的を離れ、効率のみを追求するからです。効率は人間性を必要としません。
    効率性と対極に位置する人間性は、自己の使命を恥じらいを持って決めることです。究極の経済モデルは、恥じらいを知るという人間性と効率性との融合ではないでしょうか。
    50年かけて壊してきた、私たちの美徳や日本という小さいけど美しかった国をもう一度正常にするのには、100年の時を必要とするのかもしれません。
    でも、気がついた日から着手できるのですから、壊してきた責任者の1人として、この難しい命題に取組んで行きたいものです。
    日本発の全く新しい社会モデルができることを夢見て、明日から良い人間になれたらいいな?

(凪2002-5月号)

公認会計士/永岡 龍市


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(編集長 堀川貴子 記)
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