このカテゴリの目次へ
介護保険物語2000年から2004年(2)


[第2回 介護保険「申請」から「介護認定」まで]

   前回は、介護保険のあらまし、特にその権利性と金銭的なものに触れました。おわかりいただけたでしょうか。その後国の方では、いろいろと新しい議論がなされているようで、これはこの保険が5年を1期とし3年に1度見直すと定められていています。その間随時見直しが必要なものは、変更されているようです。
   前回お話した保険料のことや自己負担額について、随分変化があっています。来年は5年の節目にあたりますので、大きな変化があるようです。まだできてばかりの若い法律ですので、成熟するまでにはまだ時間がかかりそうです。
   今回は「介護保険のサービス対象者(介護認定 要支援者・要介護者)となるためには」ということで、お話を進めていきたいと思っています。
   まず介護保険における対象者(被保険者)とは、原則は満65歳に達していなければならないということです。この条件を満たすことで、市町村の介護保険担当係りに「申請」が可能ということになります。申請においては、本人もしくは家族となっていますが、介護支援専門員等が代行(無料)することができます。
   申請は、各市町村所定様式の申請書への記入が必要です。申請書は65歳以上(第1号被保険者:寝たきりや痴呆等で介護や日常生活に支援が必要な方)は無条件で受理されますが、原則から外れる64歳以下40歳以上の健康保険加入者(第2号被保険者)は、厚生省が定めた15種類の「特定疾病」に該当することで、申請書が受理されます。
【特定疾病】
筋萎縮性側索硬化症、後縦靭帯骨化症、骨折を伴う骨粗鬆症、慢性閉塞性肺疾患、シャイ・ドレーガー症候群、初老期における痴呆、脊髄小脳変性症、脊柱管狭窄症、早老症、糖尿病性神経障害・糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症、脳血管疾患、パーキンソン病、閉塞性動脈硬化症、慢性関節リウマチ、両側の膝関節又は股関節に著しい変形をを伴う変形性関節症
   次に申請が受理されると、だいたい2週間以内には市町村から委託を受けた「訪問調査員」が対象者本人の心身の状態を尋ねに自宅を訪問します。そこで本人や家族に身体や精神の状況確認の聞き取り調査をします。たくさんの質問がありますので1時間ほどはかかるようです。もちろん、訪問調査日については事前に連絡がありますし、当日都合が悪かったり、体調が思わしくなかったりしたら変更も可能です。また、調査の途中で具合が悪くなったら中断してもかまいません。決して無理をする必要はありません。調査員の都合にあわせる必要も決してありません。「権利」としての介護保険ですし、利用者優先の介護保険なのですから。
   ところで、その訪問調査の内容は3分野に大別されていて、
@概況調査…氏名、生年月日、年齢、家族状況等の確認
A基本調査…身体状況、生活状況、精神状況、問題行動、医療等の確認
B特記事項…調査項目では表現できない本人の心身の状態
になっています。
   さて訪問調査が終わると、その調査票は全国共通のコンピューター判定にかけられ、1次審査が行われます。この審査結果をもとに特記事項や主治医の「意見書」と合わせて、市町村に設置されている「介護認定審査会」で2次審査が行われます。主治医への「意見書」の作成依頼は市町村が行いますので、申請者が頼む必要はありませんが、一応かかりつけのお医者さんが驚かれないように、「介護保険の申請をしましたので宜しくお願いします」と伝えておいてください。
   介護認定審査会は、保健・医療・福祉の学識経験者数名から構成されていて、自立(非該当)から、介護保険の対象となる、「要支援・要介護1〜5」の認定がなされ、これにより、介護保険で利用できるサービスの量(一月に使える金額)が決定します。
   原則としてこの認定結果は、本人に30日以内に通知されることになっています。ただ、申請者の状況において認定が遅れることもあり、その場合は、市町村から「遅れて申し訳ありません」という通知が来ることになっています。
   もしこの「認定結果」に不服があれば、県の「介護保険審査会」に不服申立てをすることができます。ただしこの制度は、書類上の再審査という形(改めての訪問調査はしないということ)となります。認定結果が変わらない場合も間々あるそうです。ですから、そういった不服申立てをするより、しばらく期間をおいて、再申請(変更申請)をすることで、新たに認定を受け直す方が賢いやり方なのかもしれません。    基本的には、認定結果の有効期間は、状況に応じて3ヶ月、6ヶ月、1年ですが、本年からは最長2年間という期間も出てきました。そしてもう一つ忘れてはいけないことに、その有効期間切れが来る前に要介護認定を受けなおすことが必要だということです(更新申請)。一度認定を受けたらそれがずっと続くということではないということなのです。定期的に見直しが行われるということなのです。また、有効期間内であっても、本人の心身の状態に変化が生じ、介護が大変になった場合でも認定見直しの申請(変更申請)ができます。極端な話になりますが、「あなたは自立ですよ」という認定結果の通知がきた日に、突然脳卒中になり、介護が必要となることもあるのですから。
   今回は、介護保険の「申請」から「認定」までの流れをお話しました。次回は認定後、実際に介護保険のサービスを受けるために必要な「介護サービス計画(ケア・プラン)」について、お話をしたいと思います。


Yamamoto福祉・介護研究会
代表 山本亮一
 この福祉のコーナーへのご意見、ご感想、山本亮一さんへのお便りも、編集部あていただければ幸いです。

(編集長 堀川貴子 記)
E-mail : nagi@nagi-web.com

このページのトップへ このカテゴリの目次へ