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永岡龍市先生のエッセイ集

≫戦争と経済

    20世紀は戦争の世紀といわれ、戦争と共に文明も経済も発展してきました。 ちょうど10年前、現米大統領のパパが同じ西アジアでは湾岸戦争をしていました。 あの時と同じように親子2代で武器の在庫一掃セールをしています。
    10年前米国は景気の入り口にいて、日本の潤沢な資金を利用して景気を回復していったのです。 今度は全く逆になっています。米国経済は、伝統的に市場に流通する資金量を調整して景気をコントロールしようとするマネタリストといわれる人々が経済をリードしてきました。
    しかし、経済には予測できない重要な要素があって、それが経済学を困難な学問にしています。経済学の前提に、人は完全な経済人であるという仮定があります。 つまり人はすべての情報を完全に手に入れ、完全に理論的に判断し行動するという仮定です。
    現実には人々は各々の心の赴くままに行動しますから、資金の調整だけでは景気を操作する事は不能なのです。
    将来日本はどうなりますか?とよく質問を受けます。例えば、円は200円の時代が来るでしょう。
これは、経済アナリストが使う手です。確かに可能性は高いけれど、いつ200円の時期が来るかなのです。 その予測は誰もできません。私も経済アナリストを真似て予言してみましょう。 日本のみならず、世界は新しい戦争の中で大きな景気後退の渦に飲まれて行くと思われます。 それは日の出に勢いの中国においても例外ではないでしょう。 今後5年間はとても厳しい時代に入って行くでしょう。しかもわが国はオイルショック以来一度も政策で成功したことがありません。景気はさらに悪化し、円は安くなり、そのため物価は上昇します。 賃金は下がり、金利はまちがいなく上昇するでしょう。
    このような痛みの後、何が残るのでしょう。我が人気首相は何も答えてくれません。 わが身を守るため、私達は本当に完全な経済人にならなければならないのかもしれません。
    ヨハネ伝11章10節に
[昼は一日の半分ある。昼の光の中を歩けばつまずくことはない。]
とあります。
私達は今、身の丈の幸せを噛締めながら静かに生きて行く時代かもしれません。 経済発展だけでは決して幸せになれないことを、20世紀の終わりに経験した国民として。

(凪2001-11月号)

公認会計士/永岡 龍市


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